先日、某メディアから取材を受けた。
そして慎重に言葉を選びつつも、インタビュアーからこう言われた。
「あのー、こう言っては何ですが、ヴァンフォーレ甲府ってそんなに強くない、言ってしまえば弱いじゃないですか。なぜそういうチームを応援しているんですか?」
私はそう言いたい気持ちを必死に抑えて、咄嗟に「地元のチームだからです」と答えたが、インタビュアーは釈然としない様子だった。
その後も失礼な物言いを連発されて、私は最終的に取材をお断りした。
でも「なぜ弱いチームを応援するのか?」という質問は、スポーツに興味のない人からすれば自然と抱く疑問なのかもしれない。
そこで今回は、弱いチームを応援する理由について考える。
「弱いチーム」をどう定義づけるのか
私が「なぜ弱いチームを応援するんですか?」と言われたのは、ヴァンフォーレ甲府が天皇杯優勝を決めた後のこと。
「天皇杯優勝を成し遂げても『弱い』って……」とも思ったが、2022年の甲府のJ2順位は22チーム中18位。
まあ弱いと言われても仕方ないのかもしれない。
「じゃあ強いチームとはどこか?」ともし私が聞いたなら、インタビュアーは何と答えるだろう。
「J1チームか?」と聞いても、そうではないことはわかっている。
なぜなら甲府はJ1にいた時でさえ「弱い」と言われ続けてきたからだ。
おそらくインタビュアーが思う強いチームとは、J1で優勝争いを繰り広げているチーム、J1で戦い続けている名門チーム、または海外の強豪・名門チームのことだろう。
この理屈で言えば、弱いチームの方が圧倒的に多い。
じゃあ何で弱いチームを応援する人がこんなに沢山いると思ってんの?
……ていうかさ。
甲府を強いとか弱いとか思ったことないわ
端的に言ってしまえばコレ。
そもそも私が応援しているのは「強い甲府」でも「弱い甲府」でもない。
「ヴァンフォーレ甲府」だ。
本っ当に強いとか弱いとか、全然関係ない。
応援する理由を突き詰めて言うと、そこにヴァンフォーレ甲府があるから。
むしろ他の理由が見つからない。
私の両親は若い頃に山登りをしていて、私は小学生の時に「何であんなに苦しいのに、山に登ろうとするの?」と両親に聞いたことがある。
両親の答えは「そこに山があるから」だった。
当時は全然意味がわからなかったけど、今はよくわかる。
大敗しようと降格しようと周りから馬鹿にされようと、私が甲府を応援するのは「そこにヴァンフォーレ甲府があるから」だ。
もう理屈では語れない領域なのかもしれない。
そもそも応援する理由を強い弱いという軸で考えていないから「なぜ弱いチームを応援するんですか?」の問いには咄嗟に答えられない。
「強いから応援する」「弱いから応援する」という理由ももちろんアリなんだけど、強い弱いは変移していくものだ。
「じゃあ弱く(強く)なったら応援をやめるの?」と言われたら、どう答えるのだろうか。
明確な理由なんてなくてもいいじゃないか。そこに応援したいチームがあるんだから。
No.1にならなくてもいいわけじゃないけど特別なオンリーワン
スポーツチームは高みを目指すもの。
負けていい試合なんかないし、順位やカテゴリーが下がって喜ぶ人はいない。
でもサポーターとしては、自分の応援するチームは特別なオンリーワンなんだと思う。
もちろん上位にいてほしいし、勝つ試合を見たい気持ちはある。
ただどんな状況下でも、どのカテゴリーにいても、我がチームが存在してくれればそれでいいという気持ちもまた確実にある。
時々、私は考える。もし私がまったく別の都道府県に住んでいてもヴァンフォーレ甲府を応援するのだろうか、と。
そしてその考えが浮かぶたびに自分にツッコむ。仮定の話はナンセンスだ、と。
別の世界線とか「もしも」の話はいらない。それほど私にとってヴァンフォーレ甲府はオンリーワンの存在なのだ。
No.1を目指しつつも、人々にとってオンリーワンである。
スポーツ界には、強い弱いという次元を超えた大きな愛が満ち溢れている。
最後に
サポーターの思考って、本当にシンプルかつ人間臭い。
勝った時は選手と共に喜びを分かち合い、負けた時は「次だ!」と前を向いてさらに熱く応援する。
応援とは、人間の大切な部分が凝縮された行為なのだ。
これからも胸を張って、自分が応援したいチームを応援していこう。
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