いよいよ2024シーズン初戦、アウェイ蔚山現代戦が近づいてきた。
今シーズンの新加入選手は10人。
例年通り選手の入れ替えが激しいが、今年も魅力的な選手がたくさん入ってきてくれた。
そこで今シーズンの新加入選手を、なけなしのサッカー知識と大きな愛で紹介する。
1月に行われたサポーティングスタッフ交流会でのやり取りも紹介するので、ぜひ新加入選手の魅力を知ってほしい。
- DF3 孫大河(そん たいが)
- DF5 今津佑太(いまづ ゆうた)
- FW11 ファビアン ゴンザレス
- FW13 村上千歩(むらかみ ゆきと)
- MF18 三沢直人(みさわ なおと)
- MF21 ヘナト アウグスト
- DF24 飯田貴敬(いいだ たかひろ)
- MF34 木村卓斗(きむら たくと)
- DF41 井上樹(いのうえ みき)
- MF51 アダイウトン
- 最後に
DF3 孫大河(そん たいが)
サガン鳥栖から加入したイケメン長身CB。
昨季在籍していた蓮川壮大選手(現・清水エスパルス)のような、さっぱりとした雰囲気を醸している。
なおかつひょうきんな一面もあり、宮崎キャンプでは部屋で熱唱する孫選手の動画を、水野颯太選手がInstagramのストーリーにアップ。
動画には「(孫選手が)ずっと歌ってて寝れない。綾町の皆さんうるさくてすいません」という文章が添えられている。
2022年夏から2023年まではツエーゲン金沢に期限付きで在籍しており、最終的にJ3降格という苦しんだシーズンの中でも、チームメイトの得点の際には真っ先に駆け寄り祝福する人柄の良さも併せ持つ。
昨季最終戦でも得点を決めたチームメイトのもとへ真っ先に駆け寄っている(35番が孫選手)。
孫選手本人に聞いたところ「どんなに疲れていても仲間のゴールは嬉しい」とのこと。
「僕の得点も期待していてください」とも言っていたので、プロ初ゴールに期待が膨らむ……!
守備では、昨シーズンの対戦の際に前キャプテンのボレーシュートをライン上でクリアするプレーも披露。
直後には大声を張り上げ、チームメイトを熱く鼓舞した。
攻守両面の活躍に期待大だ。
DF5 今津佑太(いまづ ゆうた)
V・ファーレン長崎から帰ってきた熱きCB。
南アルプス市出身の「湯を沸かすほどの熱い漢」だ。
2018年に大卒ルーキーとして加入した今津選手(現在のチームメイトで同期は荒木翔選手)。
J1経験も経て、一回りも二回りも大きくなって帰ってきた。
新体制発表会見では「もちろん甲府が好きなんですが、愛着があるからこのチームに戻ってきたわけではありません。自分が1プレイヤーとしてこの甲府でプレーすることがとても魅力的で自分のためになると心から思えたので、もう一回甲府でプレーさせていただく決意をしました」と、単に地元愛だけではない強い覚悟を見せた。
ルーキーイヤーのクセが強すぎるリーグ戦初ゴールの時とはまるで別人だ……。
今津選手といえば、大きな声でチームメイトを鼓舞し、熱き魂で身体を張って守備をする姿が印象的だ。
今シーズンも伝統のシャツインとともにその姿は健在だが、発言や行動の端々に頼もしさやたくましさをよりいっそう感じるようになった。
副キャプテン就任時の「まずは自分の振る舞い、プレーが勝者にふさわしいものなのか常に己に問い続けていきます」というコメントからも、揺るがぬ信念を感じる。
サポスタ交流会でも笑顔を見せつつ「今年こそやってやる」というほとばしるような思いを強く感じた。
湯を沸かすほどの熱い漢が、今度は小瀬を沸かせる。
FW11 ファビアン ゴンザレス
昨シーズンの磐田と甲府との試合では、甲府のディフェンスラインを切り裂いて同点弾を決めた。
恐ろしかったストライカーが頼もしい仲間になった……!
スピードとパワーで相手守備網を突破するプレースタイルに反して、普段は落ち着いた雰囲気を醸している。
同期入団のアダイウトン選手とはキャンプでも仲が良さそうで、ピッチ内外でのコンビネーションにも期待だ。
ちなみに最近覚えた日本語は「面白い」。
磐田在籍時のインタビューでは「自分はスタメンでも途中出場でも常に気持ちは同じで、チームのために100%の力を出すだけだと思っています」と語るなど、非常に実直な性格。
サポーターについても「時間とお金を使ってスタジアムに来てくれる皆さんに、僕たち選手は応えていかなくてはいけません」と話していた。
甲府サポーターとしてもファビアン選手の思いに応えたい……!
サポスタ交流会の前日に、私はファビアン選手の母国語であるスペイン語で「甲府に来てくれてありがとう!活躍を期待しています」というメッセージを事前にノートに書くという仕込みをしておいた。
そして当日、そのメッセージをファビアン選手に見せたところ、笑顔で「オー!アリガトウ!」と言ってくれた。
また一緒にいたサポ仲間との写真撮影に満面の笑みで応じており、ファンサービスも神レベルだ。
真面目で心優しいストライカーに期待値は上がる一方だ。
FW13 村上千歩(むらかみ ゆきと)
専修大学から加入した大卒ルーキー。
昨年、専修大学では10番をつけ、キャプテンも務めていた。
昨季甲府に在籍していた井上詩音選手(現・名古屋グランパス)の一年後輩で、名古屋グランパスU-18でも共にプレーしていた。
サポスタ交流会で「井上詩音選手と一緒にプレーできなくて寂しいですか?」と聞いたところ、はっきりとした口調で「いや、そうでもないです。僕は甲府のために頑張ります」と答えてくれた。
加えて「ゴールもアシストもいっぱい決めます」と頼もしく宣言。
私が「じゃあゴール裏に……」と言いかけると「はい!ゴール裏に走って行くので待っていてください!」と明るい笑顔を見せてくれた。
終始笑顔で明朗快活な雰囲気だったので、プレーだけでなくファンサでもファンが増えそうだ。
「ゴール裏に走る」旨は専修大学体育会サッカー部のブログでも書いてあるので、村上選手の強い覚悟をぜひ感じてほしい。
2001年5月28日生まれで、同じく大卒ルーキーの井上樹選手と生まれた日が一緒。
そのことに関して新体制発表会見で聞かれた際には「刺激もたくさん受けると思いますし、お互い切磋琢磨しながら頑張っていきたい」と話し、ルーキー同士良き関係を築けそうだ。
大学時代、Jクラブから複数のオファーが来ており、オファーをもらったチームの試合を確認して「自分がどこのチームだったら生かしてくれるのかを考え、ほぼ自分で決めた」という。
自分の活かし方を熟知している大物感が漂う……!
ポテンシャル無限大の大物ルーキーに期待しよう。
MF18 三沢直人(みさわ なおと)
京都サンガF.C.から加入した、優しげな笑顔が特長のボランチ。
球際の強さとパスの精度が持ち味だが、ミドルシュートも得意。
2021年の京都vs金沢戦では弾丸のようなミドルシュートをぶち込んだ。
小林岩魚選手の専修大学時代の一年先輩であり、2022年に岩魚選手が大怪我を負った際には引用ツイートで励ましのメッセージを送るなど後輩思いの一面もある。
這い上がるぞ! https://t.co/T5zhBqYUgc
— 三沢直人 (@0707misawa) 2022年8月10日
自身も怪我に悩まされていた時期があり、2022年リーグ開幕前にはアキレス腱断絶の大怪我。それでも不屈の精神で復帰を果たした。
新体制発表会見でも怪我について触れていたため、サポスタ交流会で「どのようなモチベーションでリハビリをされていたんですか?」と質問したところ、真剣に考えつつ「モチベーション……というよりは、やるしかないって感じでした」と答えてくれた。
その後もしっくりくる言葉を真剣に考えている様子で、サポスタ交流会の一選手50秒方式の時間を過ぎても考え込み、最後の最後まで私達に真摯に向き合ってくれた。
言葉数は少なくても、人柄の良さは十分に伝わってくる。
NHK甲府のインタビューで「サッカー選手としての夢」を聞かれると「このチームでJ1選手として活躍」とはっきり答えた。
落ち着いた雰囲気をまとった紳士の活躍が楽しみだ。
MF21 ヘナト アウグスト
今年のキャンプから練習生として帯同し、2月6日に正式加入となった。
清水でもかなり愛されており、2年ぶりの公式戦出場となったルヴァンカップ川崎フロンターレ戦では、横断幕とともにヘナトコールが等々力に鳴り響いた。
またヘナト選手の人柄を表すエピソードとしては、清水時代にチームメイトだったチョンテセさんがnoteに綴っている。
このエピソードはぜひチョンテセさんの言葉で味わってほしい。
怪我に悩まされてきたサッカーキャリアだが、そのたびに不屈の精神で這い上がってきたヘナト選手。
不死鳥の活躍を見る日は近い。
DF24 飯田貴敬(いいだ たかひろ)
京都サンガF.C.から加入した、ベテランSB。
小林岩魚選手の専修大学時代の二年先輩で、三沢直人選手の一年先輩。
新体制発表会見やサポーティングスタッフ交流会後の加入だったため、人となりが掴みにくかった。
しかし2021年の京都のインタビュー動画を見たところ、気さくでお茶目な人柄であることが判明。
2019年まで甲府に所属し2021年当時チームメイトだった曽根田穣選手(現・愛媛FC)への愛が炸裂しており「ファンクラブがあったら入る」とまで言っていた。
荒川さん曽根田選手からの「今の貯金額を教えてください。一千万より上か下かでお答えください」というかなり際どい質問に正直に答えるなど、動画冒頭の「NGなしで答えます」宣言を有言実行するサービス精神の化身。
2月6日のミニキャンプ初日には、甲府のカメラにチャーミングなピースを見せた(4枚目が飯田選手)。
右SBは関口正大主将がいるため、バッチバチのポジション争いにも期待だ。
お茶目なベテランの躍進が楽しみだ。
MF34 木村卓斗(きむら たくと)
昨季夏からは愛媛FCで武者修行をし、愛媛のJ2昇格に大きく貢献した。
広報のカメラに気付くと必ず近寄って映りたがる無邪気な性格。
無邪気なあまり、宮崎キャンプでは宮崎純真選手と共謀して水野颯太選手のスニーカーを宿舎の天井付近に隠し、水野選手はキャンプ最終日前日までスニーカーを見つけられなかったそう。ハヤタ災難すぎる。
新加入選手・既存選手問わず仲が良く、コミュニケーション能力は非常に高そうだ。
ちなみにカメラに寄りで映っても肌がとても綺麗で、使っている化粧水はメラノCC。
愛媛加入時のインタビューではプロ入りまでの道のりを振り返り、自身について「頑張んないといけないタイプの選手だった」と述べている。
サポスタ交流会で「プロ入りまで頑張れたモチベーションは?」と木村選手本人に聞いたところ「絶対プロになるんだと毎日ずっと思い続けてきました」と、爽やかな笑顔とハキハキとした口調で答えてくれた。
昨年の伊予決戦では試合最終盤の粘り強いボールキープで、愛媛のJ3優勝の笛を鳴らせるFKを獲得。
FK獲得の笛が鳴った後、興奮のあまり両拳でピッチを何度も叩く姿が熱い。
この姿は愛媛サポーターの間で話題になったそう。
今度は甲府の昇格決定で小瀬のピッチを叩いてほしい……!
明朗快活な若武者が甲府でも昇格のキーマンになりそうだ。
DF41 井上樹(いのうえ みき)
明治大学から加入した大卒ルーキー。
小学生の時から高校まで甲府ユースで育ち、明治大学でさらに大きくなって甲府に帰ってきた。
「こういう人を真面目というのか……」と感服するほど真面目な性格。
頭の良さも抜きん出ており、話すことが過不足なしで綺麗な文章になる。
井上選手に「私、話がすごく下手なんですけど、井上選手のように筋道立てて上手く話すにはどうすればいいですか?」と質問したところ、こんな答えが返ってきた。
「文脈を気にして上手く話そうと思うより『伝えたい!』っていう気持ちを強く持てば、必ず伝わると思います」
小手先のテクニックではなく核心の部分を突いてきた……!
枝葉ではない、まさに樹(みき)の樹たるゆえんだ。
2024シーズン初練習後、橋爪勇樹広報に「樹が入ってくれて、観客が平均プラス1000人いくと思うから、期待していい?」と言われると「はい!」と即答。
直後に「もっと……!」と自信をのぞかせ、最終的には「2000いきます!」と笑顔で答えた。
一連のやり取りや井上選手の柔らかな笑顔をぜひ見てほしい。
甲府のバンディエラである山本英臣選手を尊敬しており、加入内定後のインタビューでは「山本選手のように甲府を象徴する選手になりたい」と話していた。
山本選手に井上選手の話題を振ったところ「小さい頃から知っているし見ているから、樹にはすごく期待しています」と、山本選手もかなり気にかけているようだ。
知性あふれる逸材の成長を見届けよう。
MF51 アダイウトン
「よ、よく獲得できましたね……!」と言いたくなるくらい、スペシャルなストライカーが加わってくれた。
一人で仕掛けてフィニッシュまで持ち込む姿を国立や小瀬で見られるかと思うと、今からわくわくが止まらない。
DAZN公式でプレー集動画がアップされているので、より期待値を高めていこう。
非常に真面目な性格だが、FC東京の昨季選手紹介映像の撮影ではカメラに向かっておどけるなど、ユーモラスな一面もある。
1990年生まれの33歳と、年齢的には「アダさん」だが、思わず「アダちゃん」と言ってしまうようなかわいさだ。
NHK甲府の「かいドキ」調べでは、アダイウトン選手は国立競技場での試合に強く、5試合で4得点を決めているとのこと。
FC東京のチームメイトからは「国立の得点王」と言われていたそうだが、本人は驕る様子はまったくなく、あくまで冷静かつ謙虚に受け止めている印象。
ただACLの舞台でも、国立でゴールを決める自信はのぞかせていた。
過信せず、慢心もなく、積み重ねてきた努力と実績から生み出される確かな自信だ。
サポスタ交流会では、ファビアン ゴンザレス選手と同様、アダイウトン選手の母国語で書いたメッセージを読ませたところ「アリガトウ!」とまぶしいほどの白い歯と満面の笑みを見せてくれた。
今年の目標を聞いた際には、一転して真面目な表情で「目標は定めず、チームのためにプレーしたい」と話し、揺るがぬ信念を見せてくれた。
日本生活も10年目に突入し、新体制発表会見で日本の好きな文化を聞かれた際には「日本人の親切なところですね。お互い尊敬する部分が素晴らしいと思いました」と答える親日家でもある。
実績十分のストライカーから目が離せない。
最後に
「これは今年こそJ1昇格できるのでは……!?」
そう思ってしまうくらい魅力的な新加入選手たち。
しかしここは今年のスローガンのように緊褌一番。
心を引き締めて覚悟を持ってACL、そしてリーグ戦を戦い抜こう。
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