甲府では去年から超久々に採用された、ユニフォームのネームマーキング。
Umbro時代の2010年まではネームがあったものの、ユニフォームスポンサーがミズノに変わった2011年を機に、2020年まではネームなしの背番号マーキングだけだった。
ネームなしユニは、背番号を入れた選手が移籍しても着回しできる利点もあるけど、どうしても思い入れは薄くなってしまう。
去年ネームマーキングが採用されてから、ユニフォームの注文数は格段に増えたそうで(ヴァンフォーレプラザの店長さん談)、やはりネームが入ることで選手やユニフォームへの思い入れや愛着もさらに湧くのかもしれない。
しかしネームが入ったとしても、そのネームが苗字では味気ない場合もある。
これを見てほしい。
小林とは誰だろうか。
これはユニフォームにネームが入る前である2020年の背番号グッズで、全員苗字ネームで統一されている。
下の名前がどんなに(同じ名前の人間が地球上に存在するのかというレベルで)珍しかろうと、悲しいかな、2020年の背番号グッズでは苗字ランキング9位の表記になってしまっている。
※正解は「小林岩魚」
さすがに夏季限定ユニフォームや、2021年以降のユニフォームは「IWANA」表記だった。ある意味「KOBAYASHI」表記はレア。
やはりネームは苗字を入れるか、名前を入れるかということはかなり重要だ。
そこで今回はユニフォームのネームについて調べ、考えてみることにした。
鳥海芳樹がユニに「SHIZURA」のネームを付けることは可能なのか
鳥海芳樹選手は今季の清水キャンプで、チームメイトから「シズラ」のニックネームを付けられている。
充実した清水キャンプをおくれています!!
— 鳥海芳樹 (@medishin19) 2022年1月13日
今年も応援よろしくお願いします🔥
ところで今年は新たに #シズラ っていうニックネームを付けられています。たぶん手足が短く、顔が大きいからズラ〜@shizullashimizu @vfk_official pic.twitter.com/rlq5Wz5Z6J
では鳥海くんが「SHIZURA」のネームがついたユニフォームを着ることは可能なのか?
横浜F・マリノスの中澤佑二さんも現役時代「BOMBER」のユニフォームを着ていたじゃん!中澤さんが可能で鳥海くんが不可能なんてことはない!
しかし、これは不可能だった。
知名度とかJリーグへの貢献度という問題ではなく、現在の規約では駄目だということになっている。
2019年までのJリーグユニフォーム規約では
シャツおよびショーツには、選手名または通称を表示することができる。
(中略)
選手名の表示を選手名または通称以外にて行うことを希望する場合は、事前にJリーグに申請し、承認を得なければならない。
と明記されており、中澤さんの現役時代は「BOMBER」も可能だった。
しかし翌年2020年の規約では、引用部の下部分が削除され、
シャツおよびショーツには、選手名、登録名またはそれらの一部を表示することができる。
と書き方が変わっている。
つまりは鳥海くんが「鳥海芳樹(TORIKAI YOSHIKI)」の一部である「TORI」とか「YOSHI」を付けることは可能。でも「SHIZURA」という、登録名とまったく関係のない名前はいくらJリーグに申請しても駄目、ということだ。
先日、清水エスパルスのディサロ燦シルヴァーノ選手のネームが、事前に発表されていた「LELE」から「DISARO’」に変わるというリリースがあった。
「LELE(レレ)」とはディサロ選手の愛称である。
これも2019年以前なら、申請さえすれば「LELE」で通っていたのね……。
ちなみに昨季ツエーゲン金沢に在籍していたホドルフォ選手のネームは「TITO」だったけど、これは本名の「Rodolfo Tito de Moraes」の一部だからOK。
昨季甲府に在籍していたパウロ・バイヤ選手はネームが「BAYA」で、本名の「Paulo Henrique Silva Ribeiro」にはどこにもBAYAが入っていないけど、Jリーグの登録名が「Paulo Baya」だからOK。
外国人選手であっても、とにかく選手名、登録名の一部であればネームに使えるというわけだ。
ブラジル人選手の名前についてはこちらを読んでほしい。
苗字か名前か、そして陸問題の行方
選手名か登録名かその一部しか使えないとなると、日本人選手については苗字を使うか名前を使うかのチョイスは重要なところ。
今年の甲府のネーム一覧はこちら。
日本人選手25人中、苗字表記と名前表記の人数を数えてみると、
苗字表記:9人
名前表記:16人
圧倒的に名前表記の方が多い。
苗字表記の9選手は、河田晃兵、野澤英之、三平和司、北谷史孝、飯島陸、山田陸、石川俊輝、岡西宏祐、山内康太。
河田晃兵選手は選手間では「河ちゃん」「河くん」と呼ばれているから「KAWATA」が妥当なのかも。
野澤英之選手、北谷史孝選手はそれぞれ「ヒデ」「フミ」と呼ばれているらしいので、名前表記でも良かったのかもしれないけど、今年も変わらず苗字表記。
三平和司選手はいくら周りが「さんぺー」と呼ぼうと、ネームで「SANPEI」は使えない。他に使えるとしたら、おそらく三平家以外誰も呼ばないであろう「KAZUSHI」である。
石川俊輝選手は昨年まで所属していた大宮アルディージャでは「TOSHIKI」表記だった。甲府にはすでに「YOSHIKI」がいるので苗字表記に変えたのかも。
岡西宏祐選手は苗字が珍しいし、愛称が「おかにー」なので苗字表記。「KOSUKE」と書かれても誰なのかわからないレベル。
山内康太選手は「KODAI」ではなく苗字表記。え?間違ってる?いやいや、康太と書いて「こうだい」と読むのだ。
ここで気になるのが「陸問題」。
甲府には現在、中山陸選手、飯島陸選手、野澤陸選手、山田陸選手と「陸」選手が4人もいる。
昨年は中山選手、野澤選手、山田選手の3人がいて、中山選手と野澤選手は「RIKU」のネーム、山田選手は「YAMADA」だった。
でも今年は
中山陸:RIKU.N
飯島陸:IIJIMA
野澤陸:RIKU
山田陸:YAMADA
と、見事に「RIKU」被りがなくなっている。純然たる「RIKU」のネームをGETしたのは野澤選手だった。
去年は「RIKU」被りがあったのに何でだろう?と思って調べてみたけど、情報は得られなかった……。
せや!同じ「陸コレクター」のレノファ山口さんがおるやん!
山口には現在、神垣陸選手と寺門陸選手が在籍している(去年在籍していた田中陸選手はSC相模原に移籍)。
甲府ほどではないけど「陸問題」はまだありそうなので、山口のネーム一覧を調べてみた。
神垣陸:KAMIGAKI
寺門陸:TERAKADO
Oh……「RIKU」がいない……。
昨年のネームも調べてみたら、神垣選手と寺門選手のネームは今年と同じ苗字表記で、田中陸選手が「RIKU」だった。
やはり同名が何人いようと、ネーム被りは良くないようだ。
サッカーは常に動き回るスポーツであり、ジャッジも一瞬でしなければならないため、審判にとっての視認性も重要なのかもしれない。
ネームを苗字にするか名前にするかの基準は不明確だけど、ネーム一覧の傾向から見ると、選手間での呼び方、または苗字と名前のよりインパクトがある方をチョイスしているのではないかと思う。
あとは中山陸選手(21歳)の「RIKU.N」と野澤陸選手(23歳)の「RIKU」のように、年上の選手が優先されることもあるのかもしれない。
山本英臣選手の「OMI」という名前の一部ネームも珍しいことではなく、例えば2018~2020年に甲府に在籍していて、昨季限りで現役を引退した金園英学さんは、ベガルタ仙台時代に「ZONO」のネームを付けている。
選手にとっても一年間そのユニフォームを身にまとうわけだから、慣れ親しんだネームが入っている方が良いのかも。
まとめ
ここまで読んでくれた皆さんは今年、どんな背番号とネームを背負うだろうか。
推し選手の背番号とネームだったり、もしかしたらオリジナルの背番号とネームだったりするかもしれない。
どちらにせよ、ユニフォームに入れるネームには、選手・サポーターそれぞれの強い思いが込められている。
新しいユニフォームとともに、これから始まる戦いを精いっぱい楽しんでいこう。
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