先日、ヴァンフォーレ甲府の公式サイトで、このようなイベントの告知がリリースされた。
「めたばーす……?」という方のために説明すると、要するにインターネット上の仮想空間のこと。
自分の分身(アバター)を作って、仮想空間内を自由に操作できる。
アバター同士で会えば音声で会話することも、文章でやり取りすることもできる。
ウェブ上で会議をしたり、集まって遊んだりと、活用法は無限大だ。
今回リリースされたイベントは、そのメタバースのひとつ「GAIA TOWN」の中で、谷真一郎フィットネスダイレクターのトレーニング講座を受けたり、サポーター同士や甲府の選手と交流したりする、というもの。
「なんだかちょっとイメージが湧かない……」
「ちょっと何言ってるかわからない……」
そんな方もいるだろう。
大丈夫。私も参加するまでいまいちイメージが湧かなかった。
このイベントには三浦颯太選手と鳥海芳樹選手がスペシャルゲストとして参加することが事前に発表されていた。
さて、どんなイベントになるのか。
未知なる世界に早速ログインしてみよう。
イベント開始前
開催日当日。開始時間まで待ちきれず、早々にログインしてしまった私。
雪が降っているし積もっているし、総合案内カウンターにはお正月のデコレーションが施してある。GAIA TOWN、なかなか芸が細かい……!
カウンターの隣になんか怪しい二人組がいるけど、気にしないことにする。
ちなみに「シラトリ」は私の本名。
このイベントには本名で申し込んだので、名前を「須羽リセル」にはしづらかったのだよ……。
さて、イベントが行われるプライベートスペースに移動するか。
事前にメールで送られてきたパスコードを入力すると……。
なんかすごい空間に着いた!
甲府のエンブレムがお出迎えしてくれているし、やけに圧の強い張り紙がたくさん貼ってあるよ!?
まだイベント開始まで時間があるので、スペース内を散策してみることにする。
ヴァンフォーレ甲府のユニフォームスポンサー「株式会社はくばく」「株式会社クスリのサンロード」の製品・サービス紹介ブース、ヴァンクラブ紹介ブースもある。
ブースの中に入ると、こんな感じ。
壁に設置してある大型画面(画像では右側の画面)でホームページを閲覧できたり、中に入ると自動的に紹介動画が再生されるブースもある。
ブース外の壁には天皇杯の歴史的瞬間を収めた写真が……!
いたるところの壁に甲府関連の写真が展示してあって、まさにヴァンフォーレのためのスペースだ。
色々見ていたら、そろそろイベント開始の時間が迫ってきた。
矢印の案内表示に従って、トレーニングルームに移動しよう。
見よ!ここがオンライン上のVFKトレーニングルームだ!
現実世界でこれほど立派なトレーニングルームはなかなか作れないけど、メタバースならエンジニアの腕一つでいくらでも作れる。
そして、壁にエンブレムが大きく飾ってあったり、大型スクリーンの下にはスローガンの一部である「Unite for the Next」が書いてあったりと、そこかしこからエンジニアさんの甲府愛が伝わってくる。
こんな素敵な空間でヴァンフォーレ甲府のオンラインイベントが行われるなんて、なんだかワクワクしてきた……!
イベント開始!
参加者全員がトレーニングルームに集まったところで、ついにイベントが始まった。
司会進行は、ヴァンフォーレ甲府のフロントスタッフ・長田圭介さん。
まず行われるのは姿勢測定と参加者同士の交流会。
いったん全員トレーニングルームを出て、2グループに分かれてそれぞれ指定されたラウンジに移動。
一人ずつ順番に姿勢測定ルームに呼ばれるので、パソコンのカメラを使って姿勢を撮影する。
参加者同士の交流会は、姿勢測定の順番を待つ人と姿勢測定が終わった人とで、ラウンジにて行われる。
参加者はラウンジのソファに座り、GAIA TOWNを運営するガイアリンクの副社長で甲府の映像担当でもある千野将さんの司会のもと、交流を図っていく。
みんなメタバース上の交流は初めてだったのか、最初はなかなか会話が進まなかったけど、千野さんのアテンドで少しずつ会話が生まれていく。
推しの選手をそれぞれ発表したり、県外在住の方に山梨のオススメスポットを紹介したり、サッカー好きだけど甲府サポーターではない方に甲府を激推ししたり、あっという間に時間が過ぎていった。
アバターを介した会話はZoomとは違い、参加者同士の顔を見ることはできない。
しかしそのぶん気楽に話せる。そしてボイスチャット(肉声)なので完全に匿名というわけでもない(テキストチャットも使うことはできる)。
相手を配慮しつつ、自分の率直な気持ちを話すことができるのだ。
匿名性とリアルなコミュニケーションのちょうどいいバランス。
これがメタバースの魅力のひとつなのかもしれない。
全員の姿勢測定が終わったところで先ほどのトレーニングルームに戻り、満を持して谷さんのアバターが登場する。
一瞬「谷さんのアバターがトレーニングを紹介するのか……?」と思ったけど、そうではなかった。
トレーニングルームの大型スクリーンに、谷さんご本人が登場。
谷さん直伝のトレーニング講座が始まった。
大型スクリーン右上に拡大ボタンがあるので、画面を拡大してパソコンの前でレッツ・トレーニング。
トレーニング内容はさすが谷さんといったところ。
運動不足と運動音痴を極めし私でもきちんと全メニューをこなせたし、やればやるほど全身の血流がどんどん良くなっていくのがわかって、とても気持ちがいい。久々に汗をかいて、思わず部屋の暖房を消した。
以前はInstagramの「これで10kg痩せました!」みたいな負荷の強いトレーニングにトライしたこともあったんだけど、キツくて体を痛めそうになり、結局3日も続かなかった。
でも谷さんのトレーニングメニューは無理なくできて、心地よさも実感できるので三日坊主の私でも続けられそう。
あと、実はイベント前までものすごく落ち込む出来事があったんだけど、トレーニング後は心がふっと軽くなっていた。
体を動かして血の巡りを良くするだけで、ここまで身も心もスッキリするとは……!
選手との交流会
「身も心もスッキリしたから、このまま終わってもいいや!」と充実感に満ちあふれていたけど、選手との交流会というビッグイベントがまだ残っていた。
参加する選手は、大卒ルーキーのクール王子・三浦颯太選手と、ヌルヌルドリブルマスター「甲府のシズラ」こと鳥海芳樹選手。
「いつトレーニングルームに二人のアバターが入ってくるかなー?」なんて思っていたところ、司会の長田さんから衝撃発言が飛び出した。
「三浦選手と鳥海選手、最初からこの中にいます!」
何……だと……?
参加者が戸惑っているであろう中、長田さんは「じゃあ三浦選手と鳥海選手、前に出てきてください」と二人を呼ぶ。
出てきたアバターは、私が最初ログインした時に総合案内の隣に佇んでいた怪しい茶髪のアフロヘアーと、
この人。
さっき参加者同士の交流会で同じラウンジにいた人やん……。
前に出てきた茶髪アフロと緑髪おじさまがそれぞれ自己紹介をする。
茶髪アフロ「鳥海芳樹です」
緑髪おじさま「三浦颯太です」
ちなみにアバターのイメージは三平和司選手とピーター・ウタカ選手だそう。
というか先ほどの参加者同士の交流会で、千野さんが参加者それぞれの推しの選手を聞いた時に、参加者の女性が「三浦颯太選手です」って答えていた。
まさかその発言を同じ空間でそうたくんご本人が聞いていたとは!
一方、私は元気よく「小林岩魚選手です!」と答えていたわ……。
ネタばらしが終わり、先ほど谷さんが映っていた大型スクリーンにそうたくんと鳥海くんの顔が映し出される。
手前の緑髪おじさまアバターがそうたくんで、茶髪アフロアバターが鳥海くん。
参加者からの質問コーナーでは、二人とも真摯に丁寧に答えていた。
サポーターが知らない裏話も話してくれたし、何より毎日のトレーニングでお疲れのところ、本当にありがたい……!
当然のことだけど両選手は静岡県清水区のキャンプ地にいて、私達参加者は山梨県内外の自宅にいる。
でもこうしてアバターで集まると、それぞれの参加者が物理的に遠く離れている感じがあまりない。
選手との距離感もほどよい近さで、サポーター達もフランクに選手達と接していたし、失礼なことを言う人もいなかった。
サポーターのアバターがいくら集まって選手のアバターに近づいても「密」にはならないところも、このご時世ではなんだか嬉しい。
メタバースが作り出す、選手もサポーターも気持ち良く交流できるベストな距離感。
コロナ禍での選手との交流にはもってこいだと思うので、どうかフロントスタッフの皆さんは今後のイベントもぜひご検討ください……!
記念撮影
最後にアバター全員で集合写真を撮ることになった。
そうたくんと鳥海くんのアバターが前に出て、その後ろに私達サポーターが立つ。
突如イナバウアーを披露する鳥海くん。
そうたくんと長田さんから「首折れてるよ!」と言われるものの、しばらくこの状態のままだった(操作ミスだったらしい)。
鳥海くんの首が元通りになったところで、みんなでパソコンのF2キーを押してポーズを取り、集合写真をパチリ。
集合写真は私の手元にはないけど、きっと何かしらのタイミングで公開されるはずだ……!
そうたくんと鳥海くんにみんなで感謝の言葉を述べ、二人のアバターがログアウトしたところでイベントは無事終了。
その後も私を含めた参加者は長田さんや千野さんと立ち話をし、しばらくしてちょっと名残惜しい気持ちもありつつ私もログアウトした。
感想
いやもう本当に充実した時間だったし、メタバースの魅力を再認識できた。
Zoomともインスタライブとも違う、絶妙な匿名性とリアルなコミュニケーションのバランスが最高に良かった。
人々の距離は離され、選手との交流も少なくなったコロナ禍で、メタバースは最強のコミュニケーション手段になるのではないだろうか。
これは体験した人にしかわからない部分もあるので、ぜひ一度味わってほしい。
そのためには第2回の開催がどうしても必要なので、どうかフロントスタッフの皆さんは今後のイベントもぜひご検討ください……!(念押し)
GAIA TOWNはいつでも誰でも利用できる。
今回使ったヴァンフォーレスペースは指定されたパスコードを入力しないと使えないが、ウェルカムエリア(ログインした時にアバターが立っているエリア)なら無料で何時間でも滞在することができる。
サポーター同士の交流にももってこいだ。
新たなコミュニケーションの形。ぜひ多くの方に体験してもらいたい。
GAIA TOWNに興味を持った方は、ぜひインストールしてほしい。
GAIA TOWNの始め方の解説動画はこちら。
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