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オウンゴールを責めることこそカッコ悪い

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 甲府には昨シーズン、オウンゴールを2回してしまった選手がいる。

 本人の名誉のために名前は伏せておくけど、甲府サポにはわかるだろう。

 

 その選手は監督やチームメイトから厚い信頼を寄せられており、ここ数年は大きな怪我もなくスタメンで出場し続けている。

 守備の選手として決定的なピンチを防いだ場面は何度もあった。得点も挙げているし、チームをまとめ上げる人間性も有している。

 

 それでもごくごく稀にしてしまうミスのせいで、一部の甲府サポからは評判が悪い。

 一昨年の試合で、その選手のバックパスが失点に直結してしまったこともあったからか、その選手がボールを持ってパスコースを探しているだけでも、観客席から「早く蹴ろ!」という声が飛ぶほどだ。

 ……ひとこと言っていい?

 

 うっせぇわ!!!

 

 オウンゴールもミスも、したくてしている訳じゃない!

 良いプレーをしている回数の方が圧倒的に多いのに、なぜここまで責められなければならないのか……。

 

 しかし感情的になっても説得力はないので、冷静に考察してみることにした。

 

当該選手のオウンゴールについて

 当該選手のオウンゴールシーンをダイジェスト映像で見てみた。

 

 1回目のオウンゴールは、相手のクロスをクリアしようと脚を伸ばしたら、それがそのままゴールに入ってしまった。

 2回目のオウンゴールは、相手のヘディングをクリアし損ねて手に当たり、ゴールに吸い込まれてしまった。

 

 共通しているのは「ゴール前の際どい位置にいる」ということ。

 ミスをすれば失点に直結する位置。でもそこに守備の選手がいなければ確実に失点する位置とも言える。実際、1回目のオウンゴールでは当該選手がいなければ、背後にいた相手選手に確実に決められていた。

 結果的にオウンゴールにはなってしまったけれど、その際どいところにいたということに、ミスを恐れずゴールを絶対に割らせないというその選手の強い意志を感じた。

 

 その選手について「やる気がない」などと言う人もいたが、そもそもやる気がなければあんな位置にはいない。第一、やる気がない選手を監督は絶対に選ばない。

 

 どちらのオウンゴールも、ゴールを割らせないという強い意志が引き起こしてしまった結果に過ぎないのだ。

 「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」という名言があるけど、これはオウンゴールにも通じると思う。

 ミスを恐れず立ち向かう勇気があるからこそ、オウンゴールが生まれる。相手に立ち向かう勇気がない選手は、必死に守備に走ってゴール前の際どい位置にはいないし、そもそもピッチに立たせてもらえない。

 オウンゴールを責める人には、この考え方が欠如している。

 

オウンゴールについて識者の意見

 サッカー知識2割の私がこう言っても、やはり説得力に乏しいので、オウンゴールについて識者の意見を調べてみた。

 しかし、オウンゴールを笑うサイトは複数あれど、オウンゴールの仕組みを真面目に解説するサイトはほとんどなかった。これがオウンゴールに対する世間の目か……。

 

 オウンゴールの仕組みを解説するサイトがこれ。

 当該選手の1回目のオウンゴールに似た事象も解説してくれている。

 

相手に深い位置までえぐられた場合、基本的には戻りながらの対応になりますから、時としてクリアが自陣へと突き刺さってしまうことがあります。これは仕方がないことで、相手のFWにぴったりと張り付けば張り付くほど、戻りながらの苦しいクロス処理となってしまうわけです。

また容易な作業と難解な作業というとても難易度の違う作業を行う(攻守の)両者に、精神的なプレッシャーの差が生まれるのも事実です。クリアする側は強いプレッシャーの中で正確な作業を行わなければならないのです。

このオウンゴールを防ぐには、クロスがあがる時点でゴール前まで戻りきり、戻りながらではない対応をする必要がありますが、そんな状況では間違いなく相手FWがフリーになっているわけですね。ということで、深い位置からのクロスをオウンゴールにしてしまうのは、仕方がないのです。これを責められたら、DFはクロスに足や頭なんて出せませんよ。

airoplane.net

 

  クロスを上げる攻撃側の選手より、そのクロスに対応する守備側の選手の方に大きなプレッシャーがかかるのは、選手でない私でも何となくわかる。

 それに自陣に戻りながらのクロス対応だと、クリアの準備が十分できず苦しい対応になるのも、サッカー知識2割の私でも何となくわかる。

 だから私よりサッカー知識がある人は、この大変さがもっとわかるはずだ。

 

 プレッシャーを感じると不思議なくらい体が動かなくなるのは、私がフットサルで経験済み。

 ド素人の私はチームメイトから「とにかくゴール前にいてください」とワントップを命じられたのだが、いざボールが来て「決めなきゃ!」と思うと、体がまったく言うことを聞いてくれなくなった。そして決定機は全て外した。

 初心者とプロを比較するのはおかしいかもしれないけど、とにかくプレッシャーを感じると普段通りに体が動かなくなることだけはお伝えしたい。

 「それを乗り越えるのがプロだろ!」と言う人は、決定機をふかしてしまうFWにもその都度言ってやってください。J1でも珍しくない光景だし。

 「プロ」という言葉は批判する時に使いやすい言葉だ。でも一般社会に置き換えてみると、絶対にミスをしない完璧社会人ってこの世にいるのか……?

 

 体勢的に難しい処理を、大きなプレッシャーを感じる中で正確に行う。

 それを選手達は何回も成功させているから、私達の目には簡単にこなしているように見えてしまう。

 当該選手もオウンゴールになってしまった回数より、クリアした回数の方が多いのは火を見るより明らかだ。

 それでもその選手を責めますか?

 

「じゃあなぜその選手ばかりオウンゴールをするの?」

 最初の項目で論破できた気がするんだけど、読み返してみるとこういう疑問を持っている人はまだいると思い、この項目を追加した。

 

 もうこうなると、その時の運と選手のキャラの問題という気がしてきた。

 甲府の長い歴史の中で、オウンゴールをしたのはその選手ばかりではない。

 今、J1で光り輝いている元甲府の選手だって、甲府時代にPK献上もオウンゴールもしたよね……?

 それでも今「〇〇選手は甲府が育てた!」と甲府サポは誇らしげに言っている。

 

 今回取り上げている当該選手のキャラは今シーズンの新加入選手数名のように、突出したキャラではない。普段は冷静で淡々としている感じだ。

 それが一部の甲府サポにはウケが悪いんだろうけど、決して悪い人ではない。

 むしろ面白いことも言うし、甲府のためになることをよく考えてくれている、甲府愛の強いとても良い人だ。

 

 個人的な話になるけど、毎年シーズン始動後に行われる「サポーティングスタッフ交流会」の選手くじ引き大会で、当該選手が私の名前を引き当ててくれたことがある。

 私は登壇したものの緊張しすぎて、賞品だけ受け取ってその選手との記念撮影をすっぽかしステージを降りてしまった。

 しかしその選手が気を利かせてくれて、ステージを降りた後に賞品にサインを書いてくれたのだ。私は緊張と恥ずかしさで混乱してしまい、何を言ったのかよく覚えていないけど(おそらく応援している旨を伝えた)、その選手が笑顔で「ありがとうございます!」と返してくれたことが印象的だった。

 その心遣いはすごく嬉しかったし、その選手の人間性を表すエピソードとして私の記憶に深く刻まれている。

 

 オウンゴール云々より、単にその選手を気に入らないだけなら、私がこのエピソードを小瀬のスピーカーを通して大声で読み上げてやりたい。

 

カッコ悪いのはオウンゴールを責める人

 確かにオウンゴールはカッコいい場面とは言えない。

 しかしそれをいつまでも根に持ち、当該選手がミスをするたびに責めるのは間違いなくカッコ悪い。

 少し考えればわかるよね。繰り返しになるけど、オウンゴールもミスも誰だってしたくてしている訳じゃないってこと。あくまで必死に守備をしようとした結果だということ。

 サッカー知識のない私だって少し考えればわかったんだから、誰だってそのくらいは考えられるはず。

 オウンゴールを責めることは、考えるのをやめていることと同じなのだ。

 

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